最近 ネットやチラシでよく見かける「リノベーション」。 リノベーションとリフォームって何が違うの?と思われる方も多いと思います。
今日はそんな「リフォーム」と「リノベーション」について少し書いてみようと思います。 まずは・・・国土交通省の定義ではどうなっているかといいますと 「リフォーム」・・・・・新築時の目論みに近づく様に復元する(修繕) 「リノベーション」・・・新築時の目論みとは違う次元に改修する(改修) ん?...イマイチよくわからない定義となっていまねえ。 わかりやすく説明しますと・・・
リノベーションとは、既存の建物(中古住宅や中古マンションなど)に 大規模な改修工事を行い、用途や機能を変更して建物の性能を現状より 向上させたり、建物の価値を高めたりすることを言います。建物の経年に伴ない、 時代に合わなくなった機能や性能を、建物を建て替えることなく時代の変化に合わせて 新築時の機能や性能以上に向上させるわけです。 具体的には、建物の耐震性や防火性などの安全を確保し、耐久性を向上させる。 冷暖房費などの省エネルギー性の向上、IT化など時代の変化に即した建築機能の向上のために行われます。外壁の補修、建具や窓枠の取り換え、給排水設備の更新なども経年劣化を防ぐ意味で有効なリノベーションと言えます。 今は住む人のライフスタイルに合わせた間取りの変更や仕上げのグレードアップなども流行りのようですね。古い機器を替えたり、外壁補修したりって・・・それって『リフォーム』じゃあないの?なんて思われる方もいらっしゃると思いますが、昔は『リノベーション』などと言う単語がなかった頃は、 全部ひっくるめて『リフォーム』って訳されてたんですね。 しかし正確に言うと『リフォーム』というのは作り直すという意味になります。 住宅の改装は全部作り直す訳ではないので、本当は『リノベーション』が正しい言葉になります。
ではなぜ今になってリノベ、リノベと騒がれだしたのか?
少子化が騒がれだしてもう10年以上経ちましたが、いよいよ人口減の世の中に向かっていく日本。
それに伴い最近深刻な問題になっているのが、地方都市中心部の人口の空洞化です。 その最もたる原因が、住む人のいない空き家にあります。 ひと昔前なら、駅など都市中心部は昔ながらの家が立ち並びさらに地価が高く、 マイホームがほしい人は、郊外の土地を買って家を建てるというのが、時代の流行りでした。 しかし現在、都市中心部には空き家が目立ち、都市の住人の大部分が、中心部を取り囲む郊外に住んでいるというドーナツ型になっています。
このまま放置しておけば、いずれ都市の中心部は廃墟の山に・・・
この現状を問題視した国や地方公共団体が国家の成長戦略の目玉として『中古住宅の流通の倍増』を打ち出しました。 その施策に引っ張られるように各業界団体が、市場を広げていったことが大きな要因と言えるでしょう。 ・・・でも中古住宅より新築住宅のほうが、キレイだし 日本人の新築住宅好きは、世界でも特異なくらい突出しています。
実際に欧米の不動産取引を見てみますと、新築住宅を買う人より、中古住宅を買う人のほうが、圧倒的に多いというデータが出ています。
日本人の新築好きは、もう文化としかいいようがありません。
欧米人の考え方を、マンションを例にとって説明すると、まずマンションには、 大まかに『躯体(くたい)』とよばれるコンクリートや鉄で作られた外枠の部分と、 『インフィル』とよばれる内装の部分の2つで構成されています。 欧米人はこれらを別々の物として分けて考えています。 それぞれ使う素材は違いますし、耐久年数も全く異なるからです。 『躯体』のコンクリートなどは、欧米では200~300年も持つという認識をしていますから、 内装だけを定期的にメンテナンスさえすれば、住み続けられるという考え方が定着しています。
これはまったくの余談になりますが、トルコのカッパドキアなどでは、 大昔の洞窟に今も人が住んでいます。中のインフィル部分を定期的に改装して、 いつまでも住みやすい居住空間を維持しているわけです。
ところが、どういうわけか日本人だけはこうした分け方を、これまでほとんどしてきませんでした。 躯体と内装をセットで考えてきた。だから、内装がダメになると、躯体までダメだと思ってしまうんです。極端な言い方をすれば、給排水管がダメになったらマンション全体も、もうダメだとなる。だから、リフォーム(=すべて作り直し)が必要だ、という発想に行き着いてしまうのです。
ただ、そうした認識はここ数年随分と変わってきました。
中古マンションブーム、そしてリノベーションブームによって、ようやく我が国にも欧米のような考え方が広がってきたようです。
新築マンションを4,000万円で買うとします。 15年後に売ろうとするといくらくらいになるでしょう?
だいたい2,500万円くらいでしょうか?
知らないうちに、年間100万円×15年間で なんと・・・1,500万円も資産が目減りしてしまいます。
では中古マンションを買ってリノベーションをするとどうなるでしょう?
中古マンションを2,500万円で買って、500万でリノベーションをします。 建物の値段はだいたい築15年で下げ止まるといわれています。
この中古マンションを同じように15年経って売ると、だいたい2,200~2,500万円くらいでしょうか?
中古を買った場合の目減り額は、新築を買った場合と比べて、1,000万円も少ないですね。
もちろん買うときにも1,500万円くらい安くなっていますので、 そのお金は将来の為の資産形成や子育て費用に廻せます。 昔の高度成長期のような所得が年々増えていくということが難しくなってきた昨今。 「リノベーション」ブームは時代の要請なのかもしれませんね。